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LifeWearがつなぐ下北沢のカルチャー。ユニクロ下北沢店が育む、街との関係

世界各地に店舗を展開するユニクロ。グローバルに事業を展開する一方で、それぞれの店舗が地域に根ざし、その土地の人や文化と関係を築いていくことも大切にしている。

下北沢店でも、ライブハウスや商店街、アーティスト、地域イベントなど、街のさまざまなプレイヤーやアセットとの取り組みが重ねられてきた。その取り組みは、オリジナルTシャツの制作から、店内でのイベント開催、地域のお店を紹介するスペースづくりまで、その形もひとつではない。

なぜ、ユニクロというグローバルブランドが、ここまでローカルな活動に力を注ぐのか。2025年3月に下北沢店の店長に着任した伊藤さんに話を聞くと、その背景には「この下北沢という街で商売をさせてもらっている」という意識、そして多様なカルチャーを受け入れる下北沢へのリスペクトがあった。

「街を元気にしたい」という思い

―ユニクロでは、店舗ごとに店を構えている地域と連携したさまざまな取り組みをされていますね。

会社として、グローバルに事業を展開することと同時に、地域に根ざした店舗運営を大切にしています。「この地域で商売をさせていただいている」という意識が強くあるからこそ、国内外を問わず、それぞれの店舗がその地域に合った形でコラボレーションを行っています。

―下北沢店では、具体的にどのような取り組みをされてきたのでしょうか。

例えば、「下北沢カレーフェスティバル」とコラボレーションしたオリジナルTシャツの販売や、コロナ禍で影響を受けたライブハウス18店舗とのオリジナルTシャツの展示など、地域イベントや近隣施設とさまざまな企画を行ってきました。

下北沢店ではコロナ禍をきっかけに、「街を元気にしたい」という思いから、地域との取り組みがより活発になっていったと聞いています。私自身も、下北沢店に来てくださったお客さまに、この街のことをもっと知ってもらうきっかけをつくれたら、という思いがあります。

―地域の方々とは、どのように関係を築いてきたのでしょうか。

最初はユニクロ側から企画を立て、直接お会いして「街を一緒に盛り上げたい」という思いを伝えながら、ひとつひとつ実現していきました。

下北沢店には長年勤務している社員の方がいて、そういった方が地域の情報を集めてくれています。

週に一度必ずミーティングをして、最近できたお店について情報交換をしたり、これから下北沢の方々とどんなコラボレーションができそうかを話したりしています。

―そうやって少しずつ、地域とのつながりを積み重ねてきたんですね。

私は2025年3月に着任したので、前任者が築いてくれたつながりもたくさんあります。今では私らからお声がけするだけでなく、地域の方から企画をご提案いただくことも増えてきました。

下北沢のみなさんのオープンな姿勢のおかげもあって、双方向で一緒に何かをつくれるようになってきたことを、とてもうれしく感じています。

―実際に街の方々と交流するようになって、下北沢の街への印象は変わりましたか。

みなさん本当に下北沢という街を愛していて、「とにかく下北沢の行事やお店を知ってもらいたい」という純粋な思いを持っているように感じます。

コーヒー、演劇、音楽、阿波おどりなど、いろいろなカルチャーが共存している街だからなのか、ジャンルを問わず新しいものに対してすごく開かれているんですよね。

私自身、大学時代によく下北沢に遊びに来ていて、当時は「おしゃれな人たちが集まる街」というイメージでした。でも着任してからは、それ以上に、地域の方々の温かさを強く感じています。

ライブハウス、阿波おどり、コーヒー。街のカルチャーを店内へ

―下北沢店では、オリジナルTシャツの制作だけでなく、地元アーティストと店内でイベントを行ったり、ミカン下北の周年イベントでは撮影場所として店舗の一部を提供したりと、取り組みの幅も広いですね。

下北沢は、多種多様なカルチャーが混ざり合っている街です。だからユニクロ下北沢店も、それぞれの活動をより多くの人に知ってもらうための“場”として機能できたらと思っています。

―最近では、オリジナルデザインのTシャツがつくれる「UTme!」も導入され、「下北沢阿波おどり」とのコラボレーションも行われました。

下北沢店には「UTme!」が絶対に必要だと思っていたので、「下北沢阿波おどり」という街の伝統的なイベントに合わせて導入できたことは、本当に良かったです。

今回は、下北沢を拠点に活動するイラストレーターの北沢直樹さんと、以前からお付き合いのあった下北沢一番街商店街のみなさんとの取り組みでした。

北沢さんからお声がけいただいたことをきっかけに、最終的には北沢さんがデザインした阿波おどり限定スタンプを使って、UTme!オリジナルTシャツを作れる企画になりました。

反響もとても良くて。阿波おどりの前日に「UTme!」を導入したばかりなのに、翌日には限定スタンプでつくったTシャツを着て、家族で阿波おどりに参加してくださっている方がいたんです。その光景が見れたときは、本当にやって良かったと思いましたね。

―お店でつくったものを着て、そのまま街のイベントへ出ていける。その距離感も下北沢らしいですね。

そうですね。下北沢は、歩いて楽しめることも魅力だと思います。

例えば下北沢店で「UTme!」のTシャツをつくって、そのまま歩いて阿波おどりへ行くことができる。車で移動する必要もない。そうした街の距離の近さが、人同士の距離の近さにもつながっているのかもしれません。

―入口付近には、地域のお店などを期間限定で紹介するスペースもありますね。

これも、たまたま下北沢店に来てくださった方に、地域のお店を知ってもらうきっかけをつくりたいという思いから続けています。

下北沢には魅力的な個人店が本当にたくさんあります。その魅力をユニクロに来た方にも知ってもらえたらと思っています。

例えば今年紹介したシモキタハニーさんは、店舗スタッフにもファンが多かったんです。「店長、試した方がいいですよ!」と言われて食べてみたら、本当においしくて。ぜひお客さまにも知ってもらいたいと思い、お声がけしました。

【実験中展-立入解禁-】“下北で働く人”公開スナップ撮影「Photo at SHIMOKITA-Working in Shimokitazawa」でも、シモキタハニーさんがユニクロでの撮影会に参加するなど、交流が続いている。
撮影:是永日和

―伊藤さんご自身から、街のお店へアプローチすることも多いんですね。

そうですね。「この地域で商売をさせていただいている」という意識があるので、下北沢の良さを伝えることも自分たちの役割の一つだと思っています。

何か一緒にできそうだと思えば、こちらから積極的に声をかけますし、逆にご提案いただいたときも、できる限り前向きに考えるようにしています。

以前店内スペースで紹介した「tag cafe」さんへ後日ご挨拶に行ったら、「『ユニクロ下北沢店で紹介されていたのを見て来ました』というお客さんがいた」と教えてくださったんです。実際にそこから街のお店へ足を運んでくれる人がいたことは、すごくうれしかったですね。

―ユニクロ下北沢店を入り口にして、街の個人店へ人が流れていくわけですね。

そうなんです。それに、一度一緒に取り組んだ店舗の方が、その後ふらっと下北沢店に寄ってくださることもあります。

「近くに来たから寄ったよ、元気?」みたいに。地域で商売をさせていただく以上、そういう一見何気ない交流もすごく大切だと思っています。気軽に立ち寄ってくださる関係になれたこと自体が、純粋にうれしいですね。

「LifeWear」と、下北沢の日常が交わる場所

―ユニクロは「私たちの日常生活を豊かにする究極の普段着」として、「LifeWear」というブランドコンセプトを掲げています。下北沢での取り組みを通して、LifeWearとの接点を感じることはありますか。

以前、シェイクスピア劇団「G.GARAGE///」を主宰する俳優・河内大和さんたちに、下北沢店で演劇をしていただいたことがあります。

河内さんはもともと、「演劇を特別なものではなく、日常に根づいた存在にしたい」という思いを持っていて、その場所としてユニクロを選んでくださったんです。

しかも当日は、ユニクロの服を着てシェイクスピアを演じてくださいました。私としても、これはまさに「LifeWear」の考え方と重なる取り組みだと感じました。(参考:https://x.com/GGarage3/status/2071760677383844296)

―シェイクスピアと、普段着のユニクロ。意外な組み合わせにも感じます。

そうですよね。でも、普段着として馴染みのあるユニクロの服で演じることで、演劇をより身近に感じてもらえるかもしれない。河内さんは、そう考えてくださったようです。

実際にその姿を見て、演劇や音楽、コーヒーなど、下北沢で大切にされている日常のカルチャーとも、「LifeWear」は相性がいいんだと気づかされました。

―最後に、これから下北沢店をどんな場所にしていきたいですか。

ユニクロは「LifeWear」という、みなさんの日常にとても近いものを届けているブランドです。だからこそ、国内外を問わず、まずはその地域で商売をさせていただいていることへの感謝を忘れてはいけないと思っています。

下北沢店としては、この街で大切に受け継がれてきた多種多様なカルチャーを、より多くの人へつないでいく場の一つになれたらうれしいです。

Tシャツは、自己表現の手段としてすごく面白いものだと思っています。「UTme!」をみなさんの表現の一つとして使ってもらいながら、それをきっかけに、これからもさまざまなチャレンジをしていきたいですね。

その一方で、私たちは店舗運営のプロでもあります。表現する人たちにも、普段から来店してくださるお客さまにも、安心してこの場所を使ってもらえるようにすることが私たちの役割です。

新しいことに挑戦しながらも、いつ来ても変わらず気持ちよく過ごせる。その両方を大事にしていきたいと思っています。

Information

取材・文:那須 凪瑳  撮影:YUKI KAWASHIMA
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ユニクロ 下北沢店
営業時間 10:00~21:00
東京都世田谷区北沢2-20-17 Recipe SHIMOKITA 2F~4F
Jikken*Pickup_