トップ > 記事 > 「ミカン下北」開業レポート −プレス取材会〜未完祭まで−
Article

記事

「ミカン下北」開業レポート −プレス取材会〜未完祭まで−

 

2022年3月30日、下北沢駅の高架下に新施設「ミカン下北」がオープンした。東京都実験区下北沢では、そのプレス取材会〜開業当日〜4月2日・3日に行われたイベント「未完祭」の様子をダイジェストでレポートする。

 

3月28日  プレス取材会

 

ミカン下北内「TSUTAYA BOOKSTORE 下北沢」にて、プレスを招いた取材会が実施された。

施設概要説明とオープニングセレモニーの2部構成で行われ、42社・57名の多種多様なメディアが集まり施設としての注目度の高さがうかがえた。

各メディアの関係者が多数詰めかけたプレス取材会会場

 

<第一部  施設概要説明>

 開発主体である京王電鉄をはじめ、世田谷区長やミカン下北の開業に携わった関係者から、同施設への想いや今後の下北沢の街づくりへのビジョンなどが語られた。

(写真左から)

株式会社ヒトカラメディア 代表取締役 高井淳一郎氏(SYCL by KEIO(ワークプレイス)のプロデュースと運営)

株式会社ビルダーズ 代表取締役 安田耕司氏(施設の開発プロデュース)

京王電鉄株式会社 取締役常務執行役員 南佳孝氏

京王電鉄株式会社 代表取締役社長 社長執行役員 紅村康氏

世田谷区 区長 保坂展人氏

京王電鉄株式会社 井の頭南管区長 品田晃広氏

京王電鉄株式会社 開発推進部開発担当課長 菊池祥子氏

株式会社ドラフト 代表/デザイナー・建築家 山下泰樹氏(建築・環境デザイン)

株式会社コネル 代表取締役 出村光世氏(PR・コミュニケーションデザイン)

 

 

各登壇者の挨拶からは、それぞれの立場からのアプローチで下北沢の魅力をさらに上げていこうとする強い想いが伝わってきた。

メディアからの質疑に対しても、地元のカルチャーや人々とのつながりを大切に街を発展させたいとする回答がなされ、これまで一般的だった売上や利便性を重視した沿線開発とは一味違うマインドを感じる時間だった。

 

 

<第二部  オープニングセレモニー>

 会場を屋外の「大階段」に移し、登壇者・関係者全員でセレモニーに参加。

株式会社コネルのクリエイティブディレクター兼書道家の足立章太郎さんによる渾身の書道パフォーマンスに、会場ではどよめきが起き大きな拍手が贈られた。

自身初のパフォーマンスだったという足立さん。ミカン下北のキーワードとなっている“実験”を体現すべく「まずは自らが実験するつもりで」トライしたとのこと。パネルに銀の箔押しが施されるなど、実験的表現が随所に感じられた。

完成した作品はこのあと東通り側のTSUTAYA BOOKSTORE 下北沢入口横に展示されることに。

 

書道パフォーマンスの後は大階段で記念撮影。

・最前列:京王電鉄株式会社関係者

・2列目:(写真左から)出村氏、高井氏、山下氏、安田氏、保坂氏、南氏、下北沢商店連合会会長 柏雅康氏、北沢二丁目南町会会長 𠮷田圀𠮷氏、北沢二丁目共和会会長 玉利久江氏

・3列目:京王電鉄株式会社関係者、京王建設株式会社 下北沢高架下開発工事事務所長 落合剛氏(右端)

・4~7列目:ミカン下北テナント関係者

・8列目:(写真左から)足立氏、株式会社コネル 澤邊 元太氏

 

 

3月30日  「ミカン下北」開業

 

いよいよ迎えた開業当日!

全17店舗の飲食店や物販店は多くのお客様で賑わった。

ワークスペース「SYCL by KEIO」もこの日にオープン。

 

ミカン下北のオープンを記念して作られた施設紹介ムービーはこちら

 

 

4月2日・3日 「未完祭」開催

 

開業後初の週末となった4月2日、 3日には「未完」「実験」がテーマの、リアルと配信を掛け合わせたイベント「未完祭」が開催。

「ルール無用。正解よりも面白い、実験的な2日間」と題し、3Dプリンターの失敗作を集めたコンテスト「もじゃもじゃコンテスト」(展示と配信)や「ミカン下北」のテナントを紹介する「世界最速ぶらりミカン下北」(配信番組)など、実験的なコンテンツを「ミカン下北」内と公式YouTubeチャンネル「未完祭TV」内で実施・配信された。この記事ではその中から注目コンテンツを、番組アーカイブと合わせて紹介したい。

 

■未完祭TV DAY1 

イベントのタイムテーブル。リアルとオンラインを織り交ぜた盛りだくさんの内容だ

 

<オツハタの生ぼっち?!ミカン下北実況レポート>

 ノーミーツのオンライン俳優オツハタと、MCやついいちろうのタッグによる、リアルタイム館内実況レポート。

 

<下北パフォり場>

 下北沢にゆかりのあるアーティストたちが表現の可能性を試す場。パフォーマーたちとの即興コラボも行われ、ミカン祭らしい実験的で楽しいパフォーマンスとなった。

出演:やついいちろう、hy4_4yh(ハイパーヨーヨ)、曽我部恵一、Yes!アキト

 

■未完祭TV DAY2 

<大喜利印刷プロトタイピングショー>

 印刷屋が世の中のお題を解決する「大喜利印刷」プロジェクトと本屋がタッグを組んだ実験企画。下北沢発の文具と書籍にまつわる新作プロダクトの制作発表会が未完祭TVにて行われた。同プロダクトはTSUTAYA BOOKSTORE 下北沢にて展示も行われている(〜 4月30日)

「大喜利印刷店(展)」はTSUTAYA BOOKSTORE 下北沢内「草叢BOOKS」にて4月30日まで開催。

 

<もじゃもじゃコンテスト>

 3Dプリンターが印刷に失敗した時にできるプラスチックの“もじゃもじゃ”。これを「失敗の象徴」ではなく「挑戦の証」と捉えて作品として讃えようというコンテスト。何とも実験的なこのイベント、ミカン下北内にて受賞&応募作品の展示が行われるのと並行して、実験特番「もじゃもじゃコンテストLIVE」としてオンライン配信された。

グランプリ受賞作品。「まるで宇宙生命体のよう」と評価が集まった

以下は未完祭の配信を行ったチームメンバーの一部。ポーズはミカンの「ミ」から。(やついいちろうさんTwitterより)

 

アクセス道路ではマルシェも

 さらに、ミカン下北の中央を通るアクセス道路には期間限定のポップアップショップが複数登場。実はこれも地元の商店会主催で実施された実験イベントのひとつ。鉄道廃材を使ったアップサイクルグッズを販売するショップや、群馬県川場村の新鮮な野菜の即売、子供販売員が接客体験する「オノマトペのおやつたち」などなど多彩な顔ぶれが揃い、賑わいを見せていた。

 

以上、ミカン下北の開業前後の様子が伝わっただろうか?

多くの実験的な試みから、“ミカン=未完”の名の通り、この開業がゴールではなくさまざまな実験のスタートであることを感じる数日間だった。

最後に、開業の舞台裏を追ったショートムービーを紹介したい。このプロジェクトがいかに多くの人々の思いと希望を乗せたものだったのかがよくわかる内容になっている。(涙もろい方はハンカチのご用意を。)

 

ミカン下北という一つの施設の開業は、下北沢の歴史が新たなフェーズに入っていくきっかけを作ったのではないだろうか。誰もが主役になり、どんなチャレンジも応援されるような自由な雰囲気の中で、果たしてこれからどんな実験が繰り広げられていくのか?今後の動きに注目したい。

 


【ミカン下北施設概要】

■名称:ミカン下北

■開業日:2022年3月30日(水)

■施設運営:京王電鉄株式会社

■設計・施工:京王建設株式会社

■開発プロデュース:株式会社ビルダーズ

■建築・環境デザイン:株式会社ドラフト

■SYCLプロデュース・運営:株式会社ヒトカラメディア

■PR・コミュニケーションデザイン:株式会社コネル

 

Information

構成・文:丑田美奈子/ 撮影:大杉明彦 (一部編集部撮影)
Jikken*Pickup_