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ミカン下北裏話〜開業時に起きていた“実験”6選〜

2022年3月30日、世間の大きな注目とともに開業したミカン下北。今回、東京都実験区下北沢では、その裏で起きていたサプライズや“実験”を紹介する。
「ルール無用。正解よりも面白い方へ。」そんな施設のマインドに触発された多くの人々が盛り上げてきたこのプロジェクト。彼らのワクワクが溢れ出たゆえに起きたエピソードの数々は、今後の実験区の広がりを予感させるものとなった。

実験その1:ハンパない駅ジャック&ラッピング車両

いきなり“裏”でもなんでもない、かなり目立っていた実験ではあるが・・・、まずはここから紹介したい。

“駅ジャック”“ラッピング車両”と言えば、交通広告の王道として昔からある手法。だが今回のミカン下北の開業告知に関しては、少々スケールが違った。

井の頭線のラッピング車両。外装はもちろん、

車内もモノクロに染まり、

試行錯誤しながら新たなものを生み出そうとする後ろ姿=「企む背中」をテーマにしたテナントの店長たちのキービジュアルが駅内各所に。

階段にも、天井にも

テープ装飾は床にも

こんなところもミカンで埋め尽くされ、

あれ、駅構内のコンビニや

駅務室まで装飾されている・・・

極めつけは、通常は媒体化が難しいはずの駅名標も黒く装飾され、ミカンのロゴまで!

関係者によると「ユニークなクリエイティブデザインも相まって、ミカン下北への期待が京王電鉄内で日増しに高まり、もともと広告媒体ではなかった場所まで『もっと攻めていこう!』と範囲が広がっていった」のだそう。広告の施工は2日間にわたって終電後の駅で行われ、駅員らも含め多くの人の手によって掲出された。

また、こうした動きは下北沢駅にとどまらず井の頭線沿線全体に広がり、吉祥寺など多数の駅でミカン下北の名前を見た方も多かっただろう。
沿線をモノクロに染めた広告ジャックは、まさに電鉄会社全体を挙げての実験だったのだ。

 

実験その2:駅ジャックだけじゃない!駅員さんの心のこもった応援も

そして、この駅ジャックに触発されたのが沿線の駅員さんたち。

渋谷駅では駅員さんの自作ポスターで開業までのカウントダウンが始まり、

ミカン下北のオリジナル法被を着て業務にあたってくれた駅員さんたち。

さらには、車内放送でミカン下北が案内されたり、駅の行先案内板にも「ミカン下北」の文字が出現したり。皆が一体となってこの開業をバックアップしていた。

 

実験その3:バーにラーメンを出前?お店同士のつながりから生まれた楽しい実験たち

一般的な商業施設ではなかなか起こりにくい、商店街のご近所さんのような交流、助け合いがミカン下北では盛んに行われている。

「Bar Fairgroud」では、バーでお酒を飲みながら、隣のラーメン店「楽観」のラーメンを出前で注文できるという。またこのGWにはベーカリー「THE STANDARD BAKERS」のパンとクラフトビールをセットにした限定メニューも展開。
今後こうした取り組みがほかの店舗にも波及していくのが楽しみだ。

「Bar Fairgroud」では一杯分のパウチ販売も行う。気になるワインを少量から試せる実験だ。

(画像:Bar Fairgroud Facebookより)

実験その4:コラボ続々。予想外のタッグ「もじゃもじゃ おはぎ」も

4月にミカン下北で開催され好評を博した「もじゃもじゃコンテスト(3Dプリンターが印刷に失敗した時にできるプラスチックの“もじゃもじゃ”を「失敗の象徴」ではなく「挑戦の証」と捉えて作品として讃えようというコンテスト)」と下北沢の人気おはぎ店「OHAGI3」がまさかのコラボ。餡をもじゃもじゃに見立てた新発想のおはぎが期間限定で発売された。

このような“もじゃもじゃ”が(写真はグランプリ受賞作品)

おはぎとして生まれ変わった。

 

そのほか、SNSや各メディアでも多く紹介されたのは「THE STANDARD BAKERS」×ミカン下北のコラボ商品、その名も「ミカンパーニュ」。モチっとした生地に国産のドライみかんが練りこまれ、グローブパウダーを香りのアクセントとなっており、見た目も中身もミカン下北の名物になりそうな一品だ。

そして4月2日・3日開催のイベント「未完祭」内でも異色のコラボが!
やついいちろう、hy4_4yh(ハイパーヨーヨ)、Yes!アキトと、スペシャルゲストとして出演した曽我部恵一により、ジャンルを超えてサプライズでセッションされたサニーデイ・サービスの「青春狂走曲」。ほかでは決して見られない貴重なパフォーマンスは、“実験”が結びつけた小さな奇跡だったのかもしれない。

<【未完祭_Day1】エンタメ番組 下北パフォり場>はこちら

実験その5:実験は施設を飛び出し、街も企業も自治体も巻き込んだ

ミカン下北の開業に合わせて4月末まで実施された「Meets下北沢~お散歩デジタルスタンプラリー~」も実験の宝庫だ。
下北沢エリアの36箇所に設置されたQRコードをスマートフォンで読み取り、集めたスタンプ数に応じて賞品が当たるこのイベントには、小田急電鉄株式会社・下北沢商店連合会・世田谷区が連携しており、まさに街をあげた取り組みとなった。

「せっかくだから多くのプレイヤーに声をかけようと話を持っていくうちに、自ら参加したい!と手を上げて下さる方も現れて。世田谷区さんもとても前向きに参加いただいたことで、駅前にポスターをたくさん掲出させていただきました。」とプロジェクト担当者。

そしてこのスタンプラリー、賞品もユニークだ。中にはアップサイクルプロジェクトに取り組むプレイヤーとのコラボによる、京王電鉄の鉄道資材(老朽取り替えにより発生した架線の廃材)を使った「セミオーダーアクセサリー」も。好きな路線の架線が選べて刻印も入る本格的な賞品で、鉄道会社ならではの企画となった。

実験その6:実験の機運はこんなところにも!お花屋さんのサプライズ

施設の開業に際して届けられた祝い花。そのアレンジメントを手がける「京王グリーンサービス」からは、ちょっと変わった祝い花がミカン下北に届いた。寄せ植えの中になぜか“ピーマン”が混ざっているのだ。同社の担当者いわく、「“実験”というキーワードに沿ってみんなが様々な形でチャレンジをしているのを見て、私たちも何か実験してみたいと思って‥‥。でもミカンをそのまま入れたのではつまらないから、ピーマンを忍ばせてみたんです。」とのこと。

普段の手堅い仕事ぶりを知っているミカン下北のプロジェクトメンバーもこれには驚き、同時に胸がアツくなったそうだ。

一見スタイリッシュな祝い花だが・・・

よく見るとピーマンが!こんな斬新なアレンジメントもまた楽しい。

 

番外編:お客様からのエール。下北沢らしい投げ銭サプライズ。

この画像を見ていただけるだろうか。

そう、150円だ。まごうことなく150円だ。
これは先述の「もじゃもじゃコンテスト」の展示に訪れたバンドマンが、創作の大惨事であるもじゃに心を打たれ、大賛辞を贈るべく“投げ銭”として置いていった150円だ。この下北沢らしいエモさに担当者は狂喜乱舞したという。(もじゃもじゃコンテスト唯一の収益だそう。)

 

〜これからの実験のタネ〜

このほかにも、ここに書ききれないほどの実験やコラボレーションがあちこちで起きているミカン下北。
たとえば“ミカン”という名前がきっかけで繋がった伊予銀行、愛媛県事務所、東大みかん同好会などのチームとの交流。
下北沢商店連合会からの紹介でつながった世田谷文学館と、テナントであるTSUTAYA BOOKSTOREが連携して実施された「ヨシタケシンスケ展」コーナー。
さらにはミカン下北のコンセプト“遊ぶと働くの未完地帯”を体現するような新しいビジネスプロジェクトの数々‥‥

今後の展開が楽しみなこれらの実験の“タネ”は、東京都実験区下北沢として引き続き追いかけていこうと思う。
唯一無二の個性ある街・下北沢の色をさらに濃くしていくであろう実験の数々、興味のある方はぜひ編集部にご連絡を!
https://jikkenku.tokyo/contact/

 

※画像提供元
ミカン下北Twitter
未完祭Youtube
京王電鉄株式会社プレスリリース

その他編集部撮影

Information

構成・文:丑田美奈子
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